<Header>
<Author: 白居易>
<Title: 遊悟真寺詩>
<Format: 五言排律>
<Year: 1964>
<BookName: 漢詩大系  白樂天>
<Translator: 田中克己>
<style: 漢文有假名>
<style2: 日本漢文訓讀附假名標注>
<TranslatedTitle: 悟真寺（ごしんじ）に遊（あそ）ぶの詩（し）>
<BookPage: 198-219>
<UsedPage: 22>
<Feature: 4>
<End Header>
<Poem>
元和九年秋，
八月月上弦。
我遊悟真寺，
寺在王順山。
去山四五里，
先聞水潺湲。
自茲舍車馬，
始涉藍溪灣。
手拄青竹杖，
足蹋白石灘。
漸怪耳目曠，
不聞人世喧。
山下望山上，
初疑不可攀。
誰知中有路，
盤折通岩巔。
一息幡竿下，
再休石龕邊。
龕間長丈餘，
門戶無扃關。
仰窺不見人，
石發垂若鬟。
驚出白蝙蝠，
雙飛如雪翻。
回首寺門望，
青崖夾朱軒。
如擘山腹開，
置寺於其間。
入門無平地，
地窄虛空寬。
房廊與台殿，
高下隨峰巒。
岩崿無撮土，
樹木多瘦堅。
根株抱石長，
屈曲蟲蛇蟠。
松桂亂無行，
四時鬱芊芊。
枝梢嫋青翠，
韻若風中弦。
日月光不透，
綠陰相交延。
幽鳥時一聲，
聞之似寒蟬。
首憩賓位亭，
就坐未及安。
須臾開北戶，
萬里明豁然。
拂簷虹霏微，
繞棟雲迴旋。
赤日間白雨，
陰晴同一川。
野綠簇草樹，
眼界吞秦原。
渭水細不見，
漢陵小於拳。
卻顧來時路，
縈紆映朱欄。
歷歷上山人，
一一遙可觀。
前對多寶塔，
風鐸鳴四端。
欒櫨與戶牖，
恰恰金碧繁。
雲昔迦葉佛，
此地坐涅盤。
至今鐵缽在，
當底手跡穿。
西開玉像殿，
白佛森比肩。
斗藪塵埃衣，
禮拜冰雪顏。
疊霜為袈裟，
貫雹為華鬘。
逼觀疑鬼功，
其跡非雕鐫。
次登觀音堂，
未到聞栴檀。
上階脫雙履，
斂足升淨筵。
六楹排玉鏡，
四座敷金鈿。
黑夜自光明，
不待燈燭燃。
眾寶互低昂，
碧佩珊瑚幡。
風來似天樂，
相觸聲珊珊。
白珠垂露凝，
赤珠滴血殷。
點綴佛髻上，
合為七寶冠。
雙瓶白琉璃，
色若秋水寒。
隔瓶見舍利，
圓轉如金丹。
玉笛何代物，
天人施祇園。
吹如秋鶴聲，
可以降靈仙。
是時秋方中，
三五月正圓。
寶堂豁三門，
金魄當其前。
月與寶相射，
晶光爭鮮妍。
照人心骨冷，
竟夕不欲眠。
曉尋南塔路，
亂竹低嬋娟。
林幽不逢人，
寒蝶飛翾翾。
山果不識名，
離離夾道蕃。
足以療饑乏，
摘嘗味甘酸。
道南藍穀神，
紫傘白紙錢。
若歲有水旱，
詔使修蘋蘩。
以地清淨故，
獻奠無葷膻。
危石疊四五，
靁嵬欹且刓。
造物者何意，
堆在岩東偏。
冷滑無人跡，
苔點如花箋。
我來登上頭，
下臨不測淵。
目眩手足掉，
不敢低頭看。
風從石下生，
薄人而上摶。
衣服似羽翮，
開張欲飛鶱。
雙雙三面峰，
峰尖刀劍攢。
往往白雲過，
決開露青天。
西北日落時，
夕暉紅團團。
千里翠屏外，
走下丹砂丸。
東南月上時，
夜氣青漫漫。
百丈碧潭底，
寫出黃金盤。
藍水色似藍，
日夜長潺潺。
周回繞山轉，
下視如青環。
或鋪為慢流，
或激為奔湍。
泓澄最深處，
浮出蛟龍涎。
側身入其中，
懸磴尤險艱。
捫蘿蹋樛木，
下逐飲澗猿。
雪迸起白鷺，
錦跳驚紅鱣。
歇定方盥漱，
濯去支體煩。
淺深皆洞徹，
可照腦與肝。
但愛清見底，
欲尋不知源。
東崖饒怪石，
積甃蒼琅玕。
溫潤發於外，
其間韞璵璠。
卞和死已久，
良玉多棄捐。
或時泄光彩，
夜與星月連。
中頂最高峰，
拄天青玉竿。
𪕍𪕌上不得，
豈我能攀援。
上有白蓮池，
素葩覆清瀾。
聞名不可到，
處所非人寰。
又有一片石，
大如方尺磚。
插在半壁上，
其下萬仞懸。
雲有過去師，
坐得無生禪。
號為定心石，
長老世相傳。
卻上謁仙祠，
蔓草生綿綿。
昔聞王氏子，
羽化升上玄。
其西曬藥台，
猶對芝朮田。
時復明月夜，
上聞黃鶴言。
回尋畫龍堂，
二叟鬢髮斑。
想見聽法時，
歡喜禮印壇。
復歸泉窟下，
化作龍蜿蜒。
階前石孔在，
欲雨生白煙。
往有寫經僧，
身靜心精專。
感彼雲外鴿，
群飛千翩翩。
來添硯中水，
去吸岩底泉。
一日三往復，
時節長不愆。
經成號聖僧，
弟子名楊難。
誦此蓮花偈，
數滿百億千。
身壞口不壞，
舌根如紅蓮。
顱骨今不見，
石函尚存焉。
粉壁有吳畫，
筆彩依舊鮮。
素屏有褚書，
墨色如新乾。
靈境與異跡，
周覽無不殫。
一遊五晝夜，
欲返仍盤桓。
我本山中人，
誤為時網牽。
牽率使讀書，
推挽令效官。
既登文字科，
又忝諫諍員。
拙直不合時，
無益同素餐。
以此自慚惕，
戚戚常寡歡。
無成心力盡，
未老形骸殘。
今來脫簪組，
始覺離憂患。
及為山水遊，
彌得縱疏頑。
野麋斷羈絆，
行走無拘攣。
池魚放入海，
一往何時還。
身著居士衣，
手把南華篇。
終來此山住，
永謝區中緣。
我今四十餘，
從此終身閑。
若以七十期，
猶得三十年。
<End Poem>
<Translation>
元和（げんな）九年（きうねん）の秋（あき）、
八月（はちぐわつ）　月（つき）の上弦（じゃうげん）。
われ悟眞寺（ごしんじ）に遊（あそ）ぶ、 
寺（てら）は王順山（わうじゅんざん）にあり。
山（やま）を去（さ）ること四五里（しごり）、
まづ聞（き）く水（みづ）の潺湲（せんくわん）たるを。
ここより車馬（しゃば）を捨（す）て、
始（はじ）めて藍溪（らんけい）の灣（わん）を涉（わた）る。
手（て）に青竹杖（せいちくぢゃう）を拄（つ）き、
足（あし）に白石（はくせき）の灘（たん）を蹋（ふ）む。 
やうやく怪（あやし）む耳目（じもく）の曠（ひろ）く、 
人世（じんせい）の諠（かまびす）、しきを聞（き）かざるを。 
山下（さんか）より山上（さんじゃう）を望（のぞ）めば、 
初（はじめ）は攀（よ）づべからざるかと疑（うたが）ふ。
誰（たれ）か知（し）らん中（なか）に路（みち）あり、
盤（ばん）折（せつ）して巖巔（がんてん）に通（つう）ずるを。
一（ひと）たび幡竿（はんかん）の下（もと）に息（いこ）ひ、
再（ふたた）び石龕（せきがん）の邊（へん）に休（やす）む。 
龕間（がんかん）　長（なが）さ丈余（ぢゃうよ ）、
門戶（もんこ）に扃關（けいくわん）なし。 
俯（ふ）して窺（うかが）ふも人（ひと）を見（み）ず、
石髪（せきはつ）　垂（た）れて鬟（くわん）のごとし。
驚（おどろ）き出（い）づ白蝙蝠（はくへんぶく）、
雙飛（さうひ）して雪（ゆき）の翻（ひるがへ）るがことし。 
首（かろべ）を廻（めぐ）らして寺門（じもん）を望（のぞ）めば、 
青崖（せいがい）　朱軒（しゅけん）を夾（さしはさ）む。 
山腹（さんぷく）を擘（つんざ）いて開（ひら）くがごとく、
寺（てら）をその間（あひだ）に置（お）く。
門（もん）に入（い）れば平地（へいち）なく、
地（ち）窄（せま）くして虚空（こくう）寛（ひろ）し。
房廊（ばうらう）と臺殿（だいでん）と、 
高下（かうか）  がんがく峯巒（ほうらん）に隨（したが）ふ。  厳崿（がんがく）に撮土（さつど）なく、 
樹木（じゅもく）おほくは痩堅（そうけん）なり。 
根株（こんしゅ）　石（いし）を抱（いだ）きて長（ちゃう）じ、 
屈曲（くっきょく）　蟲蛇（ちゅうだ）　蟠（わだかま）る。 
松桂（しょうけい）　亂（みだ）れて行（かう）なく、
四時（しじ）　鬱（うつ）として芊芊（せんせん）。
枝梢（しせう）に清吹（せいすい）　嫋（でう）たり、
韻（いん）は風中（ふうちゅう）の絃（げん）のごとし。
日月（じつげつ）　光（ひかり）透（とほ）らず、
綠陰（りょくいん）あひ交延（かうえん）す。 
幽鳥（いうてう）　時（とき）に一聲（いっせい）、 
これを聞（き）けば寒蟬（かんせん）に似（に）たり。 
首（はじめ）に賓位亭（ひんいてい）に憩（いこ）ひ、 
坐（ざ）に就（つ）きていまだ安（やす）んずるに及（およ）ばず。 
須臾（しばらく）して北戸（ほくこ）を開（ひら）けば、 
萬里（ばんり）　明（あきら）かにして豁然（くわつぜん）たり。 
簷（のき）を拂（はら）ひて虹（にじ）　霏微（ひび）たり。 
棟（むね）を遶（めぐ）りて雲（くも）　廻旋（くわいせん）す。 
赤日（せきじつ）　白雨（はくう）に間（まじは）り、
陰晴（いんせい）　一川（いっせん）を同（おなじ）くす。 
野綠（やりよく）　草樹（さうじゅ）　蔟（むらが）り、
眼界（がんかい）　秦原（しんげん）を呑（の）む。
渭水（えすい）　細（ほそ）くして見（み）えず、
漢陵（かんりょう）　拳（こぶし）よりも小（ちひさ）し。 
かへって來時（らいじ）の路（みち）を願（かへりみ）れば、 
縈紆（えいう）　朱欄（しゅらん）に映ず。 
歷歷（れきれき）たり山（やま）に上（のぼ）るの人（ひと）、
一一（いちいち）　遙（はるか）に觀（み）るべし。 
前（まへ）は對（たい）す多寶塔（たはうたふ）、
風鐸（ふうたく）　四端（したん）に鳴（な）る。 
欒爐（らんろ）と戶牖（いこう）と、
恰恰（かふかふ）として金碧（きんべき）繁（しげ）し。 
いふ昔（むかし）　迦業佛（かせふぶつ）、
この地（ち）にて涅槃（ねはん）を坐（ざ）すと。 
今（いま）に至（いた）るまで鐵鉢（てつぱつ）あり、
底（そこ）に當（あた）りて手跡（しゅせき）穿（うが）つ。 
西（にし）に玉像殿（ぎょくざうでん）を開（ひら）く、
白佛（はくぶつ）　森（しん）として肩（かた）を比（なら）ぶ。
塵埃（ぢんあい）の衣（ころも）を抖擻（とそう）し、 
冰雪（ひょうせつ）の顔（かほ）に禮拜（らいはい）す。 
霜（しも）を疊（たた）みて袈裟（けさ）となし、
雹（ ひょう）を貫（つらぬ）きて華鬘（けまん）となす。
逼（せま）り觀（み）て鬼功（きこう）かと疑（うたが）ふ、
 その跡（あと）　雕鐫（てうせん）にあらず。
ついで觀音堂（くわんのんだう）に登（のぼ）るに、
いまだ到（いた）らずして栴檀（せんだん）を聞（き）く。
階（かい）に上（のぼ）りて雙履（さうり）を脱（ぬ）ぎ、 
足（あし）を斂（をさ）めて浄筵（じゃうえん）に升（のぼ）る。 
六楹（りくえい）　玉鏡（ぎょくきゃう）を排（なら）べ、
四座（しざ）　金鈿（きんでん）を敷（し）く。
黒夜（こくや）おのづから光明（くわうみゃう）あり、
燈燭（とうしょく）の燃（も）ゆるを待（ま）たず。
衆寶（しゅうはう）たがひに低昂（ていかう）、 
碧佩（へきはい）　珊瑚（さんご）の幡（はた）。 
風來（かぜきた）れば天樂（てんがく）に似（に）て、
あひ觸（ふ）れて聲珊珊（こえさんさん）。 
白珠（はくしゅ）は垂露（すいろ）　凝（こ）り、
赤珠（せきしゅ）は滴血（てきけつ）　殷（あか）し。 
佛髻（ぶつけい）の上（うへ）に點綴（てんてい）し、
合（がっ）して七寶冠（しつばうくわん）となる。 
雙瓶（さうへい）の白琉璃（はくるり）、 
色（いろ）は秋水（しうすい）の寒（さむ）きがごとし。
瓶（へい）を隔（へだ）てて含利（しゃり）を見（み）れば、
圓轉（えんてん）たること金丹（きんたん）のごとし。
玉笛（ざょくてき）　いづれの代（だい）の物（もの）ぞ、
天人（てんにん）　祇園（ぎをん）に施（ほどこ）す。
吹（ふ）けば秋鶴（しうかく）の聲（こえ）のごとく、 
もって靈仙（れいせん）を降（くだ）すべし。
このとき秋（あき）まさに中（なかば）、
三五（さんご）　月（つき）まさに圓（まどか）なり。 
寶堂（はうだう）　三門（さんもん）　豁（ひろ）く、
金魄（きんぱく）その前（まへ）に當（あた）る。 
月（つき）と寶（はう）とあひ射（い）て、 
晶光（しゃうくわう）　鮮妍（せんけん）を爭（あらそ）ふ。 
人（ひと）を照（てら）して心骨（しんこつ）冷（ひやや）かに、
竟夕（きゃうせき）　眠（ねむ）るを欲（ほっ）せず。
暁（あかつき）に南塔（なんたふ）の路（みち）を尋（たづ）ぬれば、 
亂竹（らんちく）　低（た）れて嬋娟（せんけん）たり。
林（はやし）　幽（いう）にして人（ひと）に逢（あ）はず、
寒蝶（かんてふ）　飛（と）びて翾翾（けんけん）たり。
山果（さんくわ）　名（な）を識（し）らず、
離離（りり）として道（みち）を夾（さしはさ）みて蕃（しげ）し。 
もって飢乏（きばふ）を療（いや）すに足（た）り、
摘（つ）みて嘗（な）むれば味（あぢはひ）　甘酸（かんさん）。
道南（だうなん）に藍谷神（らんこくしん）あり、 
紫傘（しさん）と白紙錢（はくしせん）。 
もし歳（とし）に水旱（すいかん）あれば、 
詔（みことのり）して蘋蘩（ひんぱん）を修（そな）へしむ。
地（ち）の清浄（しゃうじゃう）なるをもっての故（ゆえ）に、   獻典（けんてん）に葷膻（くんせん）なし。 
危石（きせき）　四五（しご）を疊（たた）み、
藟嵬（らいくわい）として欹（そばだ）し且（か）つ刓（けづ）らる。
造物者（ざうぶつしゃ）は何（なん）の意（こころ）ぞ、
堆（うづたか）くして巖（いはほ）の東偏（とうへん）にあり。
冷滑（れいくわつ）　人迹（じんせき）なく、
苔（こけ）　點（てん）じて花牋（くわせん）のごとし。
われ来（きた）りて上頭（じゃうとう）に登（のぼ）り、
下（しも）は不測（ふそく）の淵（ふち）に臨（のぞ）む。
目眩（めくるめ）ぎて手足（しゅそく）掉（ふる）ひ、
あへて頭（かしら）を低（た）れて看（み）ず。 
風（かぜ）は石下（せきか）より生（しゃう）じ、 
人（ひと）に薄（せま）りて上（のぼ）り摶（う）つ。
衣服（いふく）は羽翮（うかく）のごとく、
開張（かいちゃう）して飛（と）び騫（あが）らんとす。
雙雙（さうさう）たり三面（さんめん）の峯（みね）、 
峯尖（ほうせん）に刀剣（たうけん）攢（あつ）まる。
往往（わうわう）　白雲（はくうん）　過（す）ぎ、 
決開（けっかい）して青天（せいてん）を露（あらは）ず。 
西北（せいほく）　日（ひ）落（あつ）るの時（とき）、
夕暉（せきき）　紅（あか）くして團團（だんだん）たり。
千里（せんり）　翠風（すいへい）の外（ほか）。 
走下（そうか）す丹砂（たんさ）の丸（ぐわん）。 
東南（とうなん）　月（つき）上（のぼ）る時（とき）。 
夜氣（やき）　清（きよ）くして漫漫（まんまん）たり。 
百丈（ひゃくぢゃう）　碧潭（へきたん）の底（そこ）、
寫（うつ）し出（いだ）す黄金（わうごん）の盤（ばん）。
藍水（らんすい）は色（いろ）　藍（あい）に似（に）て、
日夜（にちや）長（なが）く潺潺（せんせん）たり。
周迴（しうくわい）じて山（やま）を繞（めぐ）りて轉（てん）じ、
下視（かし）すれば青環（せいくわん）のごとし。
或（あるひ）は舗（し）きて慢流（まんりう）となり、 
或（あるひ）は激（げき）して奔湍（ほんたん）となる。 
泓澄（わうちょう）もっとも深（ふか）き處（ところ）、 
浮（うか）び出（い）づ蛟龍（かうりょう）の涎（ぜん）。
身（み）を側（そばだ）でてその中（なか）に入（い）れば、懸磴（けんとう）もっとも險難（けんなん）。 
蘿（ら）を捫（もん）して穋木（きうぼく）を踏（ふ）み、
下（くだ）りて澗（たに）に飲（の）む猨（さる）を逐（お）ふ。
雪（ゆき）进（ほとばし）りて白鷺（はくろ）　超（おこ）り、 
錦（にしき）跳（をど）りて紅鱣（こうせん）　驚（おどろ）く。
歇定（けつちゃう）してまさに盥激（くわんそう）し、
濯（あら）ひて支體（したい）の煩（はん）を去（さ）る。 
淺深（せんしん）みな洞徹（とうてつ）し、
腦（なう）と肝（かん）とを照（てら）すべし。
ただ愛（あい）す清（きよ）くして底（そこ）を見（み）るを、
尋（たづ）ねんと欲（ほっ）するも源（みなもと）を知（し）らず。 
東崖（とうがい）に怪石（くわいせき）　饒（おほ）く、
積甃（せきしう）す蒼琅玕（さうらうかん）。 
温潤（をんじゅん）　外（ほか）に發（はっ）して、
その間（あひだ）に璵璠（よはん）を韞（つつ）む。
卞和（べんくわ）　死（し）してすでに久（ひさ）しく、 
良玉（りゃうぎょく）おほく棄捐（きえん）せらる。
或（あるひ）は時（とき）に光彩（くわうさい）を洩（もら）し、 
夜（よる）　星月（せいげつ）と連（つらな）る。
中頂（ちゅうちゃう）の最高峯（さいかうほう）は、
天（てん）を拄（ささ）ふ青玉（せいぎょく）の竿（かん）。 
𪕍𪕌（けいれい）も上（のぼ）り得（え）ず、
あにわれ能（よ）く攀援（はんえん）せんや。
上（かみ）に白蓮池（びゃくれんち）あり、
素葩（そは）　清瀾（せいらん）を覆（おは）ふ。 
名（な）を聞（き）けども到（いた）るべからず、
處所（しょしょ）　人寰（じんくわん）にあらず。
また一片（いっぺん）の石（いし）あり、
大（おほさ）方足（はうせき）の磚（かはら）のごとし。 
插（さしはさ）みて半壁（はんぺき）の上（うへ）にあり、
その下（しも）　萬仞（ばんじん）　懸（かか）る。
いふ過去（くわこ）の師（し）あり、 
坐（ざ）して無生（むしゃう）の禪（ぜん）を得（え）たりと。 
號（がう）して定心石（ぢゃうしんせき）となし、
長老（ちゃうらう）　世々（よよ）あひ傳（つた）ふ。 
却（しりぞ）き上（のぼ）りて仙祠（せんし）に謁（えっ）すれば、 
蔓草（まんさう）　生（しゃう）じて緜緜（めんめん）たり。
むかし聞（き）く王氏（わうし）の子（こ）、
羽化（うくわ）して上玄（じゃうげん）に升（のぼ）ると。 
その西（にし）に曬薬臺（さいやくだい）あり、
なほ芝朮（しじゅつ）の田（でん）に對（たい）す。 
時（とき）にまた明月（めいげつ）の夜（よ）、
上（かみ）に黄鶴（くわうかく）の言（げん）を聞（き）く。 
廻（かへ）りて書龍堂（ぐわりょうだう）を尋（たづ）ぬれば、
二叟（にさう）　鬢髮（びんばつ）　斑（まだら）なり。
想（おも）ひ見（み）る法（はふ）を聴（き）くの時（とき）、 
歡喜（くわんき）して印壇（いんだん）に禮（れい）し、
また泉窟（せんくつ）のでに歸（かへ）り、 
化（くわ）して龍（りょう）の蜿蜓（えんえん）たるをなすを。
階前（かいぜん）に石孔（せきこう）あり、
雨（あめふ）らんとすれば白姻（はくえん）を生（しゃ）ず。
さきに寫經（しゃきゃう）の僧（そう）あり、
身靜（みしず）かにして心（こころ）　精專（せいせん）なり。 
かの雲外（うんぐわい）の鴿（はと）を感（かん）ぜしめ、 
羣飛（ぐんび）して千翩翩（せんへんべん）たり。 
來（きた）りて硯中（けんちゅう）の水（みづ）を添（そ）へ、  
去（さ）りて巖底（がんてい）の泉（いづみ）を吸（す）ふ。
一日（いちじつ）に三（み）たび往復（わうふく）し、 
時節（じせつ）　長（なが）く（たが）はず。
經成（きゃうな）りて聖僧（せいそう）と號（がう）し、
弟子（ていし）を揚難（やうなん）と名（なづ）く。 
この蓮花（れんげ）の偈（げ）を誦（ず）し、 
數（すう）は滿（み）つ百憶千（ひゃくおくせん）。
身（み）壞（やぶ）るれども口壊（くちやぶ）れず、
舌根（せつこん）　紅蓮（ぐれん）のごとし。
顱骨（ろこつ）いま見（み）えず、 
函（せきがん）なほ存（そん）せり。
粉壁（ふんべき）に吳畫（ごぐわ）あり、 
筆彩（ひっさい）　舊（きう）に依（よ）りて鮮（あざや）かなり。
素屏（そへい）に褚書（ちょしょ）あり、
墨色（ぶくしょく）あらたに乾（かわ）くがごとし。 
靈境（れいきゃう）と異跡（いせき）と、
周覧（しうらん）して殫（つく）さざるなし。 
一遊（いちいう）　五晝夜（ごちうや）、 
返（かへ）らんと欲（ほっ）してなほ盤桓（ばんくわん）す。 
われはもと山中（さんちゅう）の人（ひと）、
誤（あやま）りて時網（じまう）に牽（ひ）かる。
牽率（けんそつ）して書（しょ）を讀（よ）ましめ、
推挽（すいばん）して官（くわん）に效（そな）へしめらる。
すでに文字（もんじ）の科（くわ）に登（のぼ）り、
また諫諍（かんさう）の員（えん）を忝（かたじけな）うす。 
拙直（せっちょく）にして時（とき）に合（あ）はず、
益（えき）なければ素餐（そさん）に同（おな）じ。  
ここをもって自（みづか）ら慚惕（ざんてき）し、 
戚戚（せきせき）として常（つね）に歡（よろこび）すくなし。 
成（な）るなくして心力（しんりょく）盡（つ）き、 
おいまだ老（お）いずして秋骸（けいがい）残（ざん）す。
今來（こんらい）　簪組（しんそ）を脱（だっ）し、
始（はじ）めて憂患（いうくわん）を離（はな）るるを覺（おぼ）ゆ。 
山水（さんすい）の遊（あそび）をなすに及（およ）んで、 
いよいよ疎頑（そぐわん）を縦（ほしいまま）にするを得（う）。
野糜（やび）　羈絆（きはん）を斷（た）ち、
行走（かうそう）に拘攣（こうれん）なし。 
池魚（ちぎょ）　放（はなた）れて海（うみ）に入（い）り、 
一往（いちわう） いづれの時（とき）か還（かへ）らん。
身（み）に居士（こじ）の衣（ころも）を着（つ）け、 
手（て）に南華（なんくわ）の篇（へん）を把（と）る。
つひにこの山（やま）に來（きた）りて住（ぢう）し、
永（なが）く區中（くちゅう）の縁（えん）を謝（しゃ）せん。 
われいま四十除（じじふよ）、
これより身（み）を終（を）ふるまで閑（かん）ならん。
もし七十（しちじふ）をもって期（き）せば、  
なほ三十年（さんじふねん）を得（え）ん。
<End Translation>